自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選ぶ?違いと選び方をわかりやすく解説
  • 「遺言書を作りたいけれど、自分で書いても大丈夫?」
  • 「公正証書遺言の方が安心と聞いたけれど、何が違うの?」
  • 「自分の場合は、どちらを選べばよい?」

遺言書の作成を考え始めたとき、このように迷われる方は少なくありません。

一般的によく利用される遺言書には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。どちらにもメリットと注意点があり、「すべての人にこちらがおすすめ」と一概に言えるものではありません。

今回は、それぞれの特徴と選ぶ際のポイントをわかりやすくご説明します。

1.自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言をする方がご自身で作成する遺言書です。基本的には、遺言書の本文、作成日付、氏名を自書し、押印して作成します。なお、財産目録については、一定の要件を満たせばパソコンで作成したものや、通帳のコピー、不動産の登記事項証明書などを添付する方法も認められています。

比較的に手軽に作成できることから、「まずは自分で遺言書を書いてみたい」という方に選ばれることがあります。

2.自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言の主なメリットは、費用を抑えて作成しやすいことです。公証役場へ出向く必要がなく、ご自身で作成することができます。また、遺言書を作成したことや、その内容を他の人に知られずに保管することも可能です。

  • 「内容が比較的シンプル」
  • 「まずは費用を抑えて遺言書を作りたい」
  • 「自分でしっかり管理できる」

という方にとっては、選択肢の一つになります。

3.自筆証書遺言の注意点

一方で、自筆証書遺言には注意すべき点もあります。

遺言書には法律上の形式が定められているため、要件を満たしていない場合には、せっかく作成しても無効となる可能性があります。また、内容が曖昧であったり、財産の特定が不十分であったりすると、相続手続の際に問題が生じることがあります。

さらに、ご自宅で保管している場合には、

  • 遺言書が見つからない
  • 紛失してしまう
  • 誤って処分される
  • 内容を書き換えられたのではないかと疑われる

といったリスクも考えられます。また、ご自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、原則として相続開始後に家庭裁判所で「検認」の手続が必要になります。

4.保管制度を利用する選択肢もある

自筆証書遺言には、法務局で遺言書を保管してもらう制度があります。

これを「自筆証書遺言保管制度」といいます。この制度を利用すると、遺言書の紛失や改ざんなどのリスクを減らすことができます。また、法務局で保管されている自筆証書遺言については、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要です。「自筆証書遺言を作りたいけれど、自宅で保管するのは不安」という方にとって、有力な選択肢の一つです。

ただし、法務局が遺言内容の法的な有効性まで保障してくれるわけではありません。そのため、内容について不安がある場合には、事前に専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。

5.公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、遺言をする方の意思に基づき、公証人が作成する遺言書です。

原則として証人2名の立ち会いのもとで作成されます。公証人が関与して作成するため、方式の不備によって遺言が無効になるリスクを抑えやすいことが大きな特徴です。

また、遺言書の原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配も少なくなります。

6.公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の大きなメリットは、公証人が関与して作成するため法律上の方式に不備が生じるリスクを抑えることができ、安心して遺言書を遺すことができることです。また、

  • 原本が公証役場で保管される
  • 紛失や改ざんのリスクが低い
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 相続開始後の手続を進めやすい

といったメリットがあります。

特に、相続関係が複雑な場合や、確実にご自身の意思を実現したい場合には、公正証書遺言を検討する意味があります。

7.公正証書遺言の注意点

公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べると費用がかかります。

公証人手数料は、遺言の内容や財産額などによって異なります。また、原則として証人2名が必要となるため、その手配も考えなければなりません。必要書類の収集や財産内容の整理など、作成前の準備にも一定の時間が必要です。

そのため、「思い立ったその日にすぐ完成する」というものではなく、余裕をもって準備することが大切です。

8.結局、どちらを選べばよい?

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが適しているかは、その方の状況によって異なります。

たとえば、自筆証書遺言は

  • 費用をできるだけ抑えたい
  • 遺言内容が比較的シンプル
  • 自分で作成、管理できる
  • 法務局の保管制度を利用したい

という方に向いています。一方、公正証書遺言は、

  • 確実性を重視したい
  • 相続関係が複雑
  • 財産の種類が多い
  • 相続人以外の方に財産を遺したい
  • 家族間のトラブルが心配
  • 相続開始後の手続をできるだけスムーズにしたい

という方に向いています。

大切なのは「どの形式にするか」だけではありません

遺言書を作成するとき、つい「自筆か、公正証書か」という形式に目が向きがちです。しかし、本当に大切なのは、

  • 「誰に、何を遺したいのか」
  • 「なぜそのようにしたいのか」
  • 「残される家族にどのような負担が生じるのか」
  • 「実際にその内容を実現できるのか」

という点です。形式上は有効な遺言書であっても、内容によっては、相続開始後に思わぬ問題が生じることがあります。また、遺留分への配慮や、遺言内容を実際に実現するための遺言執行者についても、あわせて検討しておくと安心です。

ご自身に合った遺言書を選ぶために

遺言書は、ご自身の財産をどのように託すかを決める大切な書類です。

だからこそ、「とりあえず書いておく」のではなく、ご家族の状況や財産内容、ご自身の希望に合った方法を選ぶことが大切です。

当事務所では、

  • 相続人の確認
  • 戸籍の収集
  • 財産内容の整理
  • 遺言書の文案作成
  • 自筆証書遺言に関するご相談
  • 公証役場との打ち合わせ・調整
  • 遺言執行に関するご相談

など、遺言書作成に関するサポートを行っています。

  • 「自筆と公正証書、どちらが自分に合っている?」
  • 「この内容で遺言書を作れる・」
  • 「まだ具体的に決まっていないけれど相談したい」

といったことでも、どうぞお気軽にご相談ください。お話を伺いながら、ご希望やご家族の状況に合った方法を一緒に考えてまいります。